研究課題/領域番号 |
06670735
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高さき 泉 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00244492)
|
研究分担者 |
石井 當男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90010363)
塩之入 洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20128599)
後藤 英司 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30153753)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
キーワード | フィブロネクチン / 摘出血管 / 発現調節因子 / 動脈硬化症 / 高血圧 |
研究概要 |
ラット下行大動脈より長さ約2cmの摘出血管を作成し、血管拡張用バルーンカテーテルを挿入し、6気圧にて内腔より拡張し、プロトオンコジーンc-fosの発現におよぼす影響をまず観察した。その結果、c-fosの発現は培養後超早期に著増することが明らかになった。この発現増加の経時的変化は2-3時間をピークとし、約24時間近く持続するもので、培養細胞で得られているこれまでの結果と比較して、より長期にわたる発現レベルの増加であった。このc-fosの発現増加は部分的に(39.5%)プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬により抑制されることが明らかになった。またこのc-fosの発現増加は、プロテインキナーゼA(PKA)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬それぞれ単独では抑制できないが、PKC阻害薬、PKA阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬三者を同時に投与して培養するとより高度に抑制(72.0%)されることも明らかになった。バルーンカテーテルによる加圧・拡張は、このc-fosの発現に対し有意の変化を及ぼさなかった。一方、摘出血管におけるFNの発現は最初の24時間の培養にて、c-fosより遅れて著しく増加するが、エラスチンの発現は、FNと異なり著減することが明らかになった。これらよりプロトオンコジーンの発現増加がおこり、それに引き続いてFNの発現増加が生じている可能性が示された。この実験条件下ではバルーンカテーテルによる加圧・拡張は少なくともc-fos遺伝子の発現増加機構に影響を及ぼさない可能性が高いことが明らかになった。最終年度の研究では、ラット下行大動脈より長さ2cm(内径2mm)の摘出血管を作成し、ガラス製血管拡張器(外径2.0〜3.0mm)にて内腔より拡張し、無血清培養液中で24時間培養し、そのFNの発現におよぼす影響を観察した。血管拡張器にて拡張された摘出血管と、対照として拡張されなかった摘出血管の血管壁でのFNの発現は、前者で約30%増加していた。内径の大きさに依存した発現の増加は認めなかった。この発現増加はPKC阻害薬の投与により抑制された。血管壁には壁の拡張を認識してFNの発現増加を惹起する系が存在する可能性がある。この系が活性化する前段階としてc-fosの発現増加を介していること、またこれらの遺伝子の発現増加のためには、細胞内情報伝達系としてPKCが中心的役割を演じているが、他の情報伝達系も部分的あるいは相乗的に関与している可能性が示された。
|