運動負荷T1-201心筋SPECT24時間遅延像における逆再分布像の臨床的意義について、急性心筋梗塞患者を対象に、ブドウ糖負荷F-18-FDGPETによる糖代謝、および左室造影にる左室壁運動と比較して検討した。T1-201逆再分布は、運動負荷直後像に比して、3移管遅延像あるいは24時間遅延像のT1 activityの低下を認める領域において陽性とした。T1-201心筋SPECTにおける逆再分布は、3時間遅延像で3.8%、24時間遅延像において、18.8%認められ、後者において有意に高値であった。24時間逆再分布領域におけるブドウ糖代謝は障害され、F-18-FDGのactivityは24時間像T1正常取り込み領域とscar領域の中間の状態を示した。同領域の左室壁運動低下は、F-18-FDGのactivityと同様に24時間像T1正常取り込み領域とscar領域の中間の状態を示した。24時間逆再分布領域を灌流する冠状動脈は、ずべてinterventionにより、あるいは自然に再開通しており、最大冠狭窄度は53%であった。24時間逆再分布を示した領域の運動負荷直後像におけるT1のactivityは、ほぼ正常であった。 静注されたT1は、Na-K ATPaseによりextraction fraction 80%以上で心筋内へ能動輸送される。血流ほぼ正常の心筋におけるT1の洗い出し半減期は4-8時間であり、それより十分長い24時間像におけるT1の分布は、心筋-血液間T1平衡分布像と考え得る。T1イオンのNa-K ATPaseに対す親和性は非常に高く、T124時間平衡分布像はKイオンの分布像にも相当すると考えられる。つまり、viableな心筋の分布とも見なし得る。従って、運動負荷直後像がほぼ正常で24時間像が逆再分布を示した領域は、血流が正常にもかかわらず心筋障害が存在することを意味する。本年度の研究において、同領域における心筋障害の存在を、F-18-FDG PETによる糖代謝異常および左室壁運動低下から証明した。
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