6週齢雄性SHRに対してACE阻害剤、A-II受容体拮抗剤を12週間投与し、心肥大進展抑制効果を高周波断層心エコー図法を用いて経時的に評価した。続いて心臓カテーテル法による血行動態解析、微小ドプラプローブを用いて冠血流速波形の解析、冠血管予備能、病理形態学的検索などを対比検討した。薬剤投与群では血圧上昇、心肥大は無投薬群に比して有意に抑制された。心臓カテーテル法では薬剤投与群の左室拡張能は無投薬群よりも良好である事が証明された。さらに、冠血流速波形の解析を行ったが、無投薬群で認められた拡張能低下によると思われる冠動脈血流拡張早期成分の低下は薬剤投与群では認められず、Reactive hyperemiaによって評価した冠血管予備能も薬剤投与群は無投薬群に比して良好であった。以上より、ACE阻害剤、A-II受容体拮抗剤は心肥大進行、左室拡張障害の進行、および冠循環障害の進行を抑制する効果を有することが証明されたが、両薬剤間の効果の相違は認められなかった。病理組織は現在解析中である。
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