研究概要 |
(1)ラット培養心筋細胞および線維芽細胞における一酸化窒素(NO)-cGMPの産生と誘導型NO合成酵素(iNOS)mRNAと蛋白の発現に対する各種サイトカイン(IL-1β, IL-2, IL-6,IL-8, TNF-α, TGF-β)の作用、さらには心筋細胞の収縮能をoptical-videoシステムにより検討したところ、IL-1βは、心筋細胞におけるiNOSmRNAの発現を介してその収縮能に影響し、一方、線維芽細胞においては認められなかった(Cardiovascular Research 1995 ; 29 : 813-819. )。 (2)ラット大動脈輪状標本を用いた生理学的手法、および、ラット培養平滑筋細胞を用いた生化学的手法にて各種炎症性サイトカインの作用を検討し、IL-1βにおいてはNO-cGMPが関与し、IL-6ではprostacyclin-cAMP系が関与することを明らかにした。一方、IL-2およびIL-8は、共に影響を与えなかった(Clinical Experimental Pharmacology and Physiology 1995 ; 20 : S169-S171. & Cardiovascular Research 1995 ; 30 : 711-715. )。 (3)IL-1βによるNO産生におけるエイコサノイド代謝系、特に、リポキシゲキナーゼ代謝系の関与についてラット培養血管平滑筋細胞を用いてiNOSmRNAの発現のレベルで検討したところ、IL-1βは、NOおよびエイコサノイド両代謝系を亢進し、産生された5-Lipoxygenase代謝産物がIL-1βによるNO産生をiNOS遺伝子の転写以降のレベルで修飾している可能性を指摘した(第59回日本循環器学会学術集会、名古屋、1995. & 68th A. H. A. Scientific of AHA, Anaheim, 1995. )。
|