平成7年度は、心筋症ハムスターJ2Nを用いて心筋ミトコンドリアを分離しADP/ATP担体蛋白、以下AACの蛋白含有率を測定。J2NにはAACの量的異常が存在していることを確認した。このAACはミトコンドリア内膜に存在するADP、ATPの輸送を行う重要な蛋白質であるが、分子生物学的手法を用いてさらにAACに関して検索した。AACのクローニングはゴールデンハムスター心筋よりmRNAを抽出し逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。cDNAよりphage vectorでcDNA libraryを作成した。またヒトfibloblast由来のcDNA liblaryより、PCR法にてAAC cDNAクローンを得た。これをプローブとしてハムスターcDNA libraryよりplaque hybridization法を用いてAACのisoenzymeのクローニングを行った。次にAACのmRNAのレベルにおいての発現をdot blot hybridizationを用いて測定したところ、AACのmRNAレベルでの発現は正常ハムスターが最も強く発現していた。以上のように心筋症の程度が強いハムスターほどAACが低下しており、さらにAACの減少と共にmRNAレルでの発現低下の存在が認められた。
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