研究概要 |
1)ヘモペキシン遺伝子 心筋内ヘモペキシンは直接的な細胞傷害性物質であるヘム,アルコールには発現応答しなかったが,サイトカインにより約4倍の発現誘導を受けた.(第92回日本内科学会講演会,1995年4月名古屋において発表).これらの知見は,ヘモペキシンが心筋内で局所急性期反応を形成し,生理的なantioxidantとして作用している可能性を示唆している.この遺伝子発現誘導が肝細胞と同様の機序,即ちInterleukin-6応答領域を介した転写調節か,また組織特異的か否かはさらに検討を要する.また,研究代表者が共同研究をしているCornell Univ.Medical CollegeのMuller-Eberhard研究室からは,肝細胞でのラット・ヘモペキシン遺伝子のインターロイキン6応答領域が同定され,動物種を超えて保存されている事を報告した(Immenschuh,S.,Nagae,Y.et al.(1994)J.Biol.Chem.269:12654-12661.). 2)組織レニン・アンギオテンシン系 Adriamycin心筋症ラットでは,予想に反しアンギオテンシノーゲン発現の減少,レニン発現の増加が認められた.本モデルは組織像とも対比したがadriamycin毒性による組織傷害が著明であるにも関わらず免疫細胞浸潤が乏しく,サイトカインの関与が少ないモデルである可能性が示唆された.さらに本モデルは心不全となるため,サイトカインなどの内分泌因子よりも血行動態による影響が大きいものと考えられた(第59回日本循環器学会,1995年において発表).
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