研究課題/領域番号 |
06670753
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
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研究分担者 |
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (50148699)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00210279)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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キーワード | 冠動脈slosh / 心筋内冠動脈血流 / 内皮由来平滑筋弛緩因子 / 肥大心 / 心内膜側細動脈 |
研究概要 |
本研究の目的は、血管内皮由来平滑筋弛緩因子(EDRF)が冠動脈slosh抑制効果を有するという作業仮設を実験的に検証することである。本年度は、EDRF放出障害の可能性が示唆される高血圧性肥大心について、冠動脈slosh現象への影響を検討した。 [方法]麻酔開胸犬を用い、心筋内冠動脈として中隔枝の拍動性冠動脈血流を20MHz80チャンネル超音波血流計で計測した。CCD生体顕微鏡を用いて心内膜側細動脈冠微小血管を生理的血液駆出心で観察した。麻酔犬において、両側腎動脈にクリップをかけて、腎血管性高血圧犬を作成した(2K2C)。血圧160/100mmHgの中程度の高血圧を発症した犬を1ヶ月又は2ヶ月飼育し、肥大心の冠循環動態を検討した。FFT分析による冠動脈血流速波形のエンベロープをコンピュータで抽出し、sloshの指標として逆流量と順流量の比を求めて、αブロッカー投与前後を比較した。また、心内膜側心筋内細動脈径の心周期に伴う拍動性変動をコンピュータで画像処理した。 [結果と考察]アセチルコリン(Ach)の冠動脈内注入による内皮依存性冠血流増加反応は、肥大心では正常心に比べて減少していた。これに対し、パパベリンの冠動脈注入による内皮依存性冠血流増加反応は正常人と差がなかった。すなわち、肥大心では血管平滑筋に障害はないが、内皮のEDRF放出に障害があることは示された。高血圧性肥大心では冠動脈sloshが増大しているが、この原因として、心筋収縮力の増大とともに、内皮によるEDRF放出障害も関与していることが示唆される。
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