研究概要 |
1.ヒトp18 NFE2cDNAのクローニング 赤血球特性的転写因子NFE-2は、分子量45kDaの蛋白(p45)と分子量18kDaの蛋白(p18)との複合体である。p18 NFE-2は単一の分子ではなくmaf K, maf G, maf Fの少なくとも3つ分子種がニワトリでは存在する。ヒトP18 NF-E2 cDNAを単離するため、リンパ性白血病細胞から作製されたcDNAライブラリーをマウスmafKcDNAをプローブにしてスクリーニングした。その結果、我々はmafKとmafGの2種類のsmall maf cDNAを得ることができた。塩基配列を決定した結果、ヒトMafKは156アミノ酸,MafGは162アミノ酸から成り、両者ともに分子量約18kDaであることが明らかとなった。MafK、MafGいずれもb-Zipドメインを持っていたが転写活性領域を思われるドメインを含んでいなかった。また、両者は、ニワトリのホモローグとの間に約93%という高いアミノ酸配列の相同性が認められた。 2。ヒトp18 NFE2タンパクの機能解析 大腸菌に発現させ精製したヒトMafKとMafGは、p45 NF-E2とヘテロ二量体を形成しNF-E2配列に結合することがゲルシフト法により明らかとなった。またその転写因子としての機能をin vivoでみるためにNF-E2配列をもつレポーター遺伝子とヒトMafK、MafGとp45 NF-E2の発現ベクターをさまざま組み合わせでCOS細胞にトランスフェクションした。その結果、MafKとMafGは単量体としては発現抑制因子として働き、p45 NF-E2とヘテロ二量体を形成すると転写を活性化することが明らかとなった。 3。ヒトp18 NFE2の発現 検索した全ての組織にMafKとMafGは発現していた。白血病細胞でも巨核球系及び赤芽球系を含め解析した全てのタイプの細胞株でその発現が見られた。また乳児白血病細胞でも発現していたがその他の白血病での発現量と差は見られなかった。
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