研究概要 |
1)FACScanを用いたミトコンドリア機能障害のスクリーニング PDH欠損とMELASの線維芽細胞をFACScanで解析し,これらの細胞が正常対照と違ったパターンを示すことが証明された.現在地の欠損細胞を検討中である. 2)培養細胞の電子伝達系酵素活性測定およびATP産生能の検索 ミトコンドリア病では電子伝達系酵素の複合体Iが最も障害されやすいが,測定上細胞内膜のATP産生に関与する酵素(rotenone sensitive)の測定は非常に困難である.今回われわれは1mg/mlのジギトニンを1分間処理し,細胞質を取り除くことにより電子伝達系酵素活性測定法を確立した.またmtDNA変異をもつ細胞のinvitro系での生体内のredox stateを培養細胞をglucose添加PBSでインキュベーション後,乳酸・ピルビン酸を測定しその比を求めることによりredoxを証明した.ATP産生をルミノメーターを用いて測定する方法は現在進行中である. 3)SV40を用いた変異ミトコンドリア病態解明 mtDNAの点変異(MELAS変異)及び欠失をもつ病例の培養線維芽細胞に複製開始部欠損SV40DNAをlipofectinを用いて導入し,クローン化後形質が安定した細胞を得た.ミトコンドリアDNAの変異率の違いでの電子伝達系酵素測定の結果,従来言われているより低変異率で電子伝達系機能障害を認めることが証明された.またmtDNAを除去したHeLa細胞(ρ0細胞)とmtDNA変異を有する線維芽細胞との融合細胞(cybrid)はすでに準備できた.
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