研究課題/領域番号 |
06670766
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
須磨崎 亮 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40163050)
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研究分担者 |
滝田 齋 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30013957)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 小児C型肝炎 / 免疫不全症 / 宿主免疫能 / コア抗体 / 慢性肝炎 / C型慢性肝炎 / 肝硬変 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症には無症候性キャリア・急性肝炎から肝硬変・肝細胞癌まで種々の病態がみられる。本研究は、宿主免疫能がHCV感染症の病態にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために計画された。小児C型肝炎27例を免疫能正常群(外科手術8例及び現在基礎疾患のない症例7例)と免疫能低下群(抗癌剤使用の悪性腫瘍9例及び免疫不全症3例)に分けて、臨床経過、肝病理組織像、ウイルス学的検査、免疫学的検査の点から比較検討した。免疫能正常群では、急性肝炎2例、慢性肝炎軽快例2例、慢性肝炎持続例11例であった。免疫能低下群では、慢性肝炎軽快例4例、慢性肝炎持続例7例、肝硬変死亡例1例であった。肝組織所見は計17例で検討されており、免疫低下群の1例で肝硬変の組織所見が確認された。慢性肝炎の活動性については両群間で大きな差異はみられなかった。ウイルス学的検査事項としては、本年度はHCV遺伝子型の決定と血清中のHCV-RNA量の測定法について検討した。前者については、遺伝子型特異プライマーを用いるOkamotoらの方法と共通プライマーを用い増幅DNA断片長で遺伝子型を決定するRoggendorfらの方法を比較検討したが、両法による結果は概ね一致していた。後者については、検体希釈によるPCR法の測定結果と分岐プローブ法によるHCV-RNAの定量を比較したが、プローブ法が再現性の点で優っていた。免疫学的検査では、RIBA法による各種HCV抗体産生能について検討した。非構造領域に対するC100-3抗体は免疫能正常群15例中11例で陽性、免疫能低下群12例中3例で陽性であった。これに対してコア抗体はほぼ全例で陽性であった。以上から、1)免疫能低下患者のHCV感染を診断するためには、コア抗体の測定が必要なこと、2)免疫能の低下した宿主にHCVが感染すると病変が急速に進行する例があり、宿主免疫能はC型肝炎の病態の進行阻止に働いている可能性があること、が明らかになった。
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