本研究の目的は、小腸の蠕動運動の伝播を支配する、slow waveのfrequency gradientとfrequency plateauとを発達学的に研究することである。研究の第一段階として、in vitroで新生仔および離乳後のウサギから取り出した小腸にfrequency gradientが存在するか否かを検討した。ウサギ小腸から縦走筋方向に筋条片を作成し、Krebs液中でtransducerに接続して、一定の張力をかけ、isometric tensionを持続的に測定した。筋条片作成後一定時間経過すると、極めて規則的な周期で筋の自発的な収縮が記録された。これは電気生理的にはslow waveの周期をあらわすものである。その自発的収縮運動の周期を検討した結果、新生仔ウサギでも離乳後ウサギと同様、回腸末端の自発収縮頻度(frequency)は十二指腸のそれに比較して30〜50%程度少いことが判った。またその減少は十二指腸、空腸で大きく空腸では少なかった。この自発収縮頻度の勾配はtetrodotoxinやatropineの影響を受けなかった。以上の結果は、すくなくともウサギではfrequency gradientが新生児期から存在することを示す結果であると考えられる。尚、これは予想された範囲の結果である。今年度中にさらに追試を行って確認をとったうえ、次のステップ(in vivoにおけるfrequency plateauの存在の有無の研究)に移る予定である。
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