研究概要 |
TAL1遺伝子の部位特異的欠失について、小児および成人のT細胞性腫瘍99例の臨床検体を用いて、サザンブロッティングとPCR法により検討した。この欠失は小児T細胞型急性リンパ性白血病(T-ALL)44例中10例で認められたが、小児T細胞型非Hodgkinリンパ腫20例および成人T細胞性腫瘍35例では認められず、小児T-ALLに特異的な遺伝子変化と考えられた。これらの10例は、表面マーカーではCD1-,CD2+,CD4-,CD7+,CD10-の共通点を持ち、この欠失をもたないT-ALLに比べ、有意に良好な予後を示した。また、この欠失を利用して2症例においてPCR法による微少残存腫瘍(MRD)の検出を行った。1例では寛解期にも持続的にMRDが検出されたが、他の1例では白血病クローンは初診時にのみ検出された。この欠失を有する症例が小児のT-ALLの中で、一つのsubgroupと思われる。
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