研究概要 |
卵アレルギーと診断された乳児においてパッチテストを用いた遅延型皮膚反応の結果と末梢血リンパ球をin vitroでアレルゲンのオボムコイド,オボアルブミンと共に培養して調べた芽球化反応の反応性は良い相関が見られた。末梢血リンパ球のサイトカインの産生は昨年度,IL-4、IFN-γについて検索したが,今年度は症例数を増やし同様の,IL-4産生の亢進とIFN-γ産生の低下を確認した.また,IL-5についても検討を加えIL-4と平行して産生亢進がみられることが分かった. サイトカインの産生を行う細胞の割合を算定しようとin situ hybridization法を試みた.アレルゲン刺激による場合,陽性細胞は0.2-5.5%と値も症例間で様々ではあったが,コントロールに比べ明らかに多い例が多く,反応細胞の割合が末梢血で高いことがわかった. また,卵アレルギーの末梢血リンパ球からリミッティングダイリューション法を用いたクローニングによりいくつかのクローンを得た.解析の途中であるが,末梢血リンパ球での検討結果と矛盾せず,Th2タイプのもであった.アレルゲンのエピトープの決定は現在進行中である.MHC classΠ分子に結合するペプチドの原型ともいえるペプチド(PH-1.0)は患者リンパ球のアレルゲンに対する反応を抑制したので,有力なアレルギー抑制法の開発に役立つものと考えられた.
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