卵アレルギーの乳幼児の末梢血リンパ球は、卵白、オボアルブミン、オボムコイド刺激により、増殖反応を示し、IL-4産生細胞数増加がおこり、IL-4分泌も亢進した。また、in vitroでの刺激なしに、IL-4の分泌が見られた。PHA刺激により、CD4+細胞内のIL-4産生細胞の割合が、対照に比べて高かった。IFN-γの産生は、即時型アレルギー反応のみの患者群に比べ、アトピー性皮膚炎のある患者群では、低下していた。これは、特異的抗原ではなく、PHA刺激においてもみられ、ダニに反応のあるアトピー性皮膚炎等、遅延型反応のある場合の共通の異常である可能性がある。今回の検討対象である卵アレルギーでは、即時型反応のみの群と遅延型反応を示す群は、卵の成分に反応するという点で共通し、IL-4産生の亢進がサイトカイン産生の異常として基盤にあり、前者と後者の違いは、INF-γの産生の点であると考えられた。しかし、その本体は不明のままであり、今後の研究が必要である。 遅延型反応のある患者から、オボアルブミン特異的CD4^+T細胞クローンを9株樹立した。すべてTh2タイプのサイトカイン産生パターンを示した。1クローンのみオボアルブミンペプチド323-339に反応して増殖した。PH-1.0ペプチド(Leu-Tyr-Gln-Glu-Leu-Gln-Lys-Leu-Thr-Gln-Thr-Leu-Lys)は、この患者由来のリンパ芽球様細胞株に対するペプチド323-339の結合を抑制し、クローンの増殖反応を抑制した。今後、オボアルブミンのT細胞エピトープの解析によってT細胞への抗原提示の段階における制御を利用した治療の開発に結びつくことが期待される。
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