研究期間・費用の制約により、今年度はおもにビデオ記憶なよるStateの観察とその分析を行い、研究の基礎データを検討した。 正常新生児およびロ-リスクの新生児のビデオ記録によるStateの観察により、早くて在胎33週、少なくとも在胎34週移行において、Stateの周期的な変動が比較的規則的に出現することが明らかになった。また、観察時間としては、少なくとも1時間の観察時間内にはほぼすべてのStateが出現し、2時間の観察時間ですべてのStateを観察する事が可能であった。また、仮死や頭蓋内出血など中枢神経に異常があるような新生児では、Stateの出現が正常新生児に比べて不規則であることも明らかとなった。またStateと自発運動との間にも関係が認められた。 上述のように在胎34週移行の新生児では約2時間の観察時間内に規則的にすべてのStateが出現することが明らかとなった。小児および成人での生理的なGHの分泌周期は90-120分とされているので、4時間の観察時間で呼吸・心拍・酸素飽和度・血糖等のパラメーターと、経時的な採血によるGHの測定の検討により、Stateと内分泌動態との関係を明らかにできるものと期待できる。また、中枢神経に障害のあった新生児では、正常新生児とStateに明らかに差がみられたので、生理的なホルモン分泌動態にも異常があることが予想される。次年度は経時的に微量採血により得られた血液を、高感度EIAキットを用いてGHを測定、その分泌動態と各種パラメーターやStateとの関係を検討し、GH分泌動態と新生児の内的生理状態との関係を明らかにする予定である。また、ハイリスク児との比較検討で、予後判定に応用できるかも検討する。
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