今回の研究は、新生児のbehavioral stateの成長ホルモン(GH)分泌の関係を明らかにする事を目的とした。研究方法として、当初、当院NICUに入院中の新生児においてビデオ撮影による連続したstateの観察を行い、同時に20〜30分毎に微量採血を行うことを計画した。しかし、研究方法について当教室内で検討を重ねた結果、病的新生児において頻回の採血を行うことは不可能との結論に至り、1時間のビデオ記録終了時1回のみの採血による方法に変更して実施した。血漿GHは、高感度EIA法により測定した。 今回のデータからは、stateのGHの関連性を明らかにすることはできなかった。また、今回のstateの検討にあたって、特に早産児において、短時間のうちにstateが変動し、正確な意味でのstateの変化とはとらえにくい状態が観察時間のかなりを占めている症例が存在した。 過去に、stateとGHの関係についてはいくつかの検討が報告されており、あるstateとGH分泌の関連を指摘したものもみられるが、一致した結論には至っていない。その原因として、stateの観察法などの研究方法に問題のあった可能性が、今回の経験から考えられた。 以上のような成果をふまえ、今後は、GHとstateの関係をより正確に評価し得るものにするために、stateの観察時間や採血のタイミングなどについて再度検討を加える必要があると考える。そして、長期的にデータを蓄積することによって、修正週数、周産期のストレス、中枢神経系の障害などのファクターによる影響をさらに明らかにしていくことができるかと考えられる。
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