研究概要 |
目的と方法:サイトメガロウイルス感染による接着分子の発現の変化について研究を行なった。ウイルスはサイトメガロウイルス(AD169)、細胞はヒト胎児線維芽細胞(HEF)を用いた。12穴に単層培養したHEFにサイトメガロウイルスを各MOIで感染させ2一5日後に細胞をトリプシンEDTAで剥離しPE標識抗ICAM-1(CD54)抗体,FITC標識CD29,CD44抗体で染色後フローサイトメトリーで解析した。また抗TNFα,IFNγ,1L-Iβ抗体存在下で同様の実験を行なった。 結果と考察:サイトメガロウイルス感染により感染2日後、5日後において ICAM-1(CD54)、CD29、CD44それぞれの発現細胞の陽性率は非感染細胞と比較して有意に増加した。またその増加は感染させたサイトメガロウイスの接種量に比例した。サイトメガロウイルスによるそれぞれの接着分子の発現増加は抗TNFα,IFNγ,1L-Iβ抗体存在によっても影響を受けなかった。サイトメガロウイルスを感染させたHEFの培養上清でHEFを培養しても、各接着分子の発現は変化がなかった。以上のことからサイトメガロウイルス感染により感染細胞表面上の接着分子ICAM-1(CD54)、CD29、CD44の発現が増加すること、これま培養上清中にTNFα,IFNγ,IL-Iβが産生されることによるものではないことが示された。今後これらの接着分子の発現増加がサイトメガロウイルス感染による組織障害をの関連について研究する予定である。
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