人前骨髄性白血病由来の細胞株、HL-60は極めてApoptosisに感受性であり、例えば、1μMのカルシウムイオノホアA23187で刺激すると、4時間以内に半数以上の細胞が、Apoptosisを来す。一方、Tリンパ芽球性白血病由来の細胞株、CEMはApoptosis抵抗性で、同様の刺激で殆どの細胞がNecrosisの形態を取り死亡する。これらの細胞株に於て、Endonucleaseの活性を検索した所、HL-60の細胞質にのみDNAをNucleosome単位で切断する酵素活性が検出された。 そのEndonucleaseの性状について検討した所、Mgイオン依存性、Caイオン非依存性分子量はおよそ32-34kD、pH7.5-9が至適域であり、ZnイオンやAurintricarboxylic acidにより抑制された。これらの性状は、従来報告のあるいずれのEndonucleaseとも性格の異なるものであった。 更に、Apoptosis感受性の細胞株HL-60と、非感受性細胞株CEMの間でPEGを用いて、Hybridomaを作成した。得られた各クローンのカルシウムイオノホアに対するApoptosis感受性を調べた所、それらは(a)Apoptosis感受性(HL-60の性格に近い)、(b)抵抗性(CEMの性格に近い)、(c)両者の中間の感受性を持つものに分かれた。そこで、これらに於て、上述のEndonuclease活性を検索した所、(a)(c)群にのみ活性が見られ、その活性性は(a)群のクローンに高い傾向が得られた。 これらの事実より、人白血病細胞株のApoptosis発現に我々が見いだしたMgイオン依存性のEndonucleaseが関与している可能性が示唆された。 Endonucleaseの精製は、HL-60細胞から得た粗抽出液より、硫安法やSephadex G-100を用いて進行中である。精製後は、抗体を作成し細胞内局在についても検討する予定である。
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