1、遺伝子診断を利用した出生前診断の方法の確立 遺伝子異常を検出するために、ラジオアイソトープを用いないPCR法ならびにサザーン法を開発した。この方法を患者の遺伝子診断、出生前診断に用いた。また、出生前診断には近傍のマーカーを用いた遺伝子のハプロタイプの解析を併用することにより、確実な診断が行えるようになった。また、このラジオアイソトープを用いない診断法は他の3塩基繰り返し配列を検討する場合にも有用で、脆弱X症候群、ハンチントン舞踏病の解析が可能となった。 2、遺伝子の産物であるmyotonin/protein kinaseのリンパ芽球での発現の検討。 リンパ芽球を材料に遺伝子発現を検討した。リンパ芽球での発現は微量であるためにPCR法を利用した。PCR法を遺伝子発現の定量に用いる場合には、原理的に誤差を生む可能性が大きく、そのために競合PCR法のシステムを開発し検討を行った。先天型筋緊張性ジストロフィー症と正常対照を検討したが、その差はなく、発現の異常は認められなかった。遺伝子の発現は臓器ごとに異なる場合もあり、今後、発現量の多い筋肉等で検討してゆく必要がある。 3、myotonin/protein kinase蛋白の大腸菌での発現システム。 大腸菌を用いた原因遺伝子産物を産生を試みた。まず、myotonin/protein kinaseのヒトおよびマウスの全長cDNAを作成した。ヒトでは心筋からRNAを分離し、PCR法にて作成した。またマウスcDNAはヒトmyotonin/protein kinase cDNAをプローブとして、cDNAライブラリーのスクリーニングを行い単離した。これらのcDNAを発現ベクターに導入し、大腸菌内での蛋白の産生を試みたが、蛋白の産生は認めらりなかった。今後さらに、発現システムの検討、ドメインごとの発現の検討が必要と考えられた。
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