研究概要 |
[研究目的]我々はすでに長時間の生体情報(脳波、心電図RR間隔、呼吸、血圧、TcPO_2、体温、筋電図)に自己回帰解析を施す手法を開発し(科研費一般(B)No.6048024,研究成果報告書,1989)さらに、その手法を用いて生後24時間以上1ヵ月間の生体情報を無侵襲、無拘束で記録収集するシステムを開発した(科研費一般(C)No.0267045,研究成果報告書,1992)。そこで、平成6年度では上記システムを用いて新生児24時間生体情報の自動解析システムを開発せんとした。 [研究成果](1)脳波の自己回帰スペクトルの24時間の変動と睡眠ステージ自動判定:静睡眠期(QS)の抑制波を基準として、パターン識別法を用いて平坦度を定量し、QSの自動判定が可能となった。また、δ/(θ+α+β)のパワー比から動睡眠期(AS)とQSとの判別が可能となった。(2)心拍自律神経制御活動の胎児から新生児への変化:健康正常胎児と、それらを含む満期新生児のRR間隔時系列に自己回帰解析を施し、赤池情報量規準(AIC)と低周波帯域パワーからQSとASとの判別が可能である。(3)呼吸変動スペクトルの24時間変動と睡眠との関係:呼吸波形の減衰周波数と減衰時間はQSとASとで有意差があり、F検定の結果、敏感度80%でQSの判定が可能であった。(4)表面筋電図によるgeneral movementの検出:表面筋電図の時系列に自己回帰解析を施すと、トータル・パワーとAICでQS,ASに有意の差を見いだすことが可能となった。 [今後の研究展開]上記結果をもととして、生直後から生後1ヵ月間にわたる胎児・新生児の姿勢・運動をとらえ発達神経学的意義を明らかにする。
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