研究概要 |
ヒトパルボウイルスB19(B19)感染例の症状は無症状から持続感染による重症貧血までの広いスペクトラムを示す。感染ウイルス株による病原性の違いと症状の相関を明らかにするために、まず1978年から1991年までの当科入院患児の保存血清からB19DNAをスクリーニングした。ドットブロットハイブリダイゼーション法により11名、PCR法を併用して計30名のB19DNA陽性例を得た。B19DNAはこれまでの報告では各種制限酵素の切断パターンより4グループに大別されている(Mori J et al.J Gen Virol 68:2797-2806,1987)。この分類を参考にPCR法によりB19DNAの215-1290(1076bp),1640-1958(319bp),3503-3901(399bp),4193-4650(458bp)部位を増幅し、5種の制限酵素Pst I,Kpn I,Hpa I,Pvu II,Xba Iによる切断パターンからI,II,III,IV型を区別した。1981年から1982年までのB19DNA陽性5例はすべてIV型、1986年から1987年の陽性5例はII型およびII型とIV型の中間型を示した。これらのことからB19感染症の流行年毎のウイルス株は特異的であることが示唆された。さらに以後の流行年のウイルス株と病原特異性について検索中である。
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