前年度に引き続きパルボウイルスB19(B19)感染の流行年である1989年から1990年、1991年および1992年のB19DNA陽性20例について検索した。1989年から1990年までの12例ではI型6例、II型6例であった。1991年の4例ではI型3例、II型1例であり、1992年の4例もI型3例、II型1例と同様であった。流行年と型の関係は1981年1ら1982年がIV型、1986年から1987年はII型へ移行し、1989年から1990年はI型へ移行するもII型が混在していた。1991年以降はI型が主であった。B19DNAのgenome型は流行年毎に異なるが、その流行期には一部重複が認められる。 B19感染による病態と型との関係については、無症状である5例ではI型4例、II型1例であった。上気道感染ないし伝染性紅斑の症状の7例ではI型4例、II型2例およびII型とIV型の中間型1例であった。貧血、汎血球減少などから骨髄不全までの造血抑制を呈した17例ではI型3例、II型8例、II型とIV型の中間型1例およびIV型5例であった。脳炎症状である意識障害を呈した1例はI型であった。これらの結果から無症状から骨髄不全あるいは意識障害などの多彩な病態については、ウイルスの特異的なgenome型との関連より、むしろ感染ウイルス量、標的細胞数あるいは個体の免疫反応に依存することが示唆された。問題解決には今回PCR法で増幅した以外の他領域についての解析が必要となろう。
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