本研究は、腫瘍性あるいは反応性に増殖・活性化したT細胞・NK細胞から放出される大量のサイトカインが病態形成に重要な役割を担っている血球貪食症候群(Hemophagocytic syndrome:HPS)について、1)HPSの病態形成にIL-12が関与しているかどうか、2)HPS発症におけるEBVの関与とIL-12の誘導に関連が見られるかどうか、3)HPS発症における高IFNγ血症、T細胞・NK細胞の役割、および、これらとIL-12のかかわりを2年間の研究期間をもって明かにすることを目的とする。 平成6年度においては、HPS20症例について、研究計画にあるフローサイトメーター及び免疫組織化学による細胞表面形質の解析、T細胞レセプター・免疫グロブリン遺伝子の再構成の有無の解析、およびEBVの関与の有無をの解析をおこなった。また、発症時あるいは増悪期の血清中サイトカイン(IFNγ、IL-6、sIL-2R)の測定を行った。その結果、EBVの関与が証明されたのは9例(45%)で、そのうち明らかにT細胞性腫瘍と判定されたのが1例、NK細胞性と判定されたのが4例、NKともT細胞性とも断定され得ないものが2例、染色対異常などでclonalityが証明されかつ臨床経過から悪性腫瘍と考えられたが、得られたサンプル量がわずかであったためT細胞性かNK細胞性か判定不能な症例が1例、非腫瘍性のHPSが1例であった。また、血清サイトカインについてはEBVの関与の有無に関わらず著しく高いことがわかってきたが、現在データを集積中である。血清IL-12測定用のELISAシステムについては現在ほぼ安定した測定が可能となりつつある。当初計画していたとうり、ほぼ研究成果が上がりつつあると考えられる。検討症例は今のところ20例あまりであるが、現在もなお症例が集積しつつあることから次年度には30以上の症例についての解析結果が得られると期待される。
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