研究概要 |
1)イヌ血漿による第VIII因子と血友病Aインヒビター相互作用に関する知見:血友病A犬コロニーにおけるイヌ血漿を全血にクエン酸を添加して得て、各種ヒト血友病Aインヒビター(抗第VIII因子同種抗体)との反応性について検討した。インヒビターはあらかじめヒト第VIII因子を用いたイムノブロット解析により、第VIII因子重鎖認識タイプ、軽鎖認識タイプおよび両鎖認識タイプに分類して用いた。軽鎖認識タイプのインヒビターはイヌ第VIII因子活性をヒト第VIII因子活性と同様に抑制した。従って、ヒト抗第VIII因子インヒビターはイヌ第VIII因子についても高い交叉反応性があることが明らかにされた。さらに、高力価軽鎖ヒトインヒビターを免疫純化、ペルオキシダーゼ標識化することにより、固相サンドイッチ酵素抗体法によるイヌ第VIII因子抗原検出測定系の確立に成功した。 2)イヌ第VIII因子と交叉反応性を有するインヒビターエピトープの解析:イヌ第III因子にも高い結合性を有する軽鎖認識インヒビターのエピトープとしてすでに明らかにしたC2ドメインの重要性をさらに確認するためにグルタチオンS-トランスフェラーゼ-C2融合蛋白を大腸菌ストレインJM101にて発現させ、サルコシルおよびトリトンX-100およびグルタチオンカラムにて可溶化C2ドメイン融合蛋白を得た。本蛋白は軽鎖認識高力価インヒビターに強く反応し、さらに、本蛋白が単独にフォンウイルブランド因子に結合した。以上より、軽鎖インヒビターのヒトおよびイヌ第VIII因子抑制機序としてC2ドメインの重要性が確認されたが、さらに、第VIII因子/フォンウイルブランド因子結合において本ドメインが必須の領域であることも明らかになった(J Biol Chem,269:11601-11605,1994).
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