研究概要 |
正常の右冠動脈血流は左冠動脈と異なり収縮期にも充分流れる事が知られており、それは正常では右室圧が左室圧よりはるかに低い事が関係すると考えられている。一方小児の心疾患には右室圧が有意に上昇するものが多く正常の右冠動脈血流は維持出来なくなる筈で、負荷に対し右冠動脈がどのように適応し血流を維持増加させるかを体系的に検討した。 1。急性開胸陽圧呼吸犬で心拍数と右室圧をそれぞれ独立に段階的に増加させ(ペイシング及び肺動脈絞厄術)、右室圧増加各段階で心拍数を変化させ右冠動脈総血流量(T/F)と収縮期と拡張期の血流分配比(D/T,diastolic/total phaseで表現した)を検討した。その間大動脈圧は一定値を保ち定常状態は維持された。 心拍数増加も右室圧増加も共に右冠動脈血流を増加させる。しかし前者は主として収縮期の増加分により、後者は拡張期増加分の寄与によりもたらされる。急性実験の条件下では右室圧増加は右冠動脈血流動態の左冠動脈化様の適応を示し、増加した各右室圧レベルでの心拍数増加に対してみると拡張期血流の増加がより寄与している結果を得た。 2。次のステップとしてより現実の状態に近い慢性(1-2か月)のは肺動脈絞厄による右室圧増加犬では右冠動脈の全体としての器質的分布の変化や右室筋肉量の増加もたらされると考えられるので慢性犬によるペイシング心拍数制御下の右冠動脈血流の対応を検討中であるがこの1年は一身上の理由による時間制約もあって充分な結果を得るに至っていないがこのまま継続して予定を完了したいと考えている。
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