研究概要 |
昨年度までに既に作製していた猫目症候群(CES)マーカー染色体特異的コスミドライブラリー(以下単にコスミドライブラリー)をYACでサブ領域化し、遺伝子同定を目指すために以下の実験を行なった。 (1)コスミドライブラリーより任意に52クローンをとり、FISH解析を行なって、マーカー染色体長腕領域のクローンを11個同定した。(2)YACクローンの同定の試みI:仏国CEPH作製のYACライブラリーの第22染色体サブセット(約350クローン)を既知のCES領域のDNAプローブ4種(セントロメア側からS9,S24,S43,S57)を用いてコロニーハイブリダイゼーションでスクリーニングし、S9及びS24陽性の4クローンを同定した。S43及びS57陽性のクローンは得られなかった。前項の11個のコスミドクローンも用いたが、前記の4クローンのうちの1個と共通の1個を同定したのみであった。すなわち、用いたYACサブライブラリーは、CES領域を均一にカバーしないと考えられた。(3)YACクローンの同定の試みII:上記11クローンのコスミドのうち7クローンの部分塩基配列を決定し、STSを確立した。それらを用い、CEPHの新世代のYACライブラリー(37,000クローン;理化学研究所より供与)をPCR法でスクリーニングして16クローンのYACを同定した。STSの解析結果より、それら16クローンは大きな一つのYACコンティグに編成されることがわかった。(4)コスミドライブラリーから高密度コロニーフィルター(HDR、1,536クローン/フィルター)を作製し、前項のYACクローンをプローブに用いてスクリーニングを開始した。同定されたコスミドは、現在877クローンに達し、上記のYACコンティグ内のサブ領域に効率よく分配されつつある。 今後は、エキソントラッピングを開始して遺伝子を同定し、虹彩・肛門・心臓の発生障害に関連する遺伝子としての検証を行なっていく計画である。
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