研究概要 |
これまでに、猫眼症候群患者由来マーカー染色体を材料に用い、猫眼症候群領域特異的な大規模(約9,200クローン、重複度:10)コスミドライブラリーの作製を行なうとともに、コスミドクローンから確立したSTSでYACをスクリーニングしてYACコンティグを構築した。本年度は当教室で新たに作製したヒト全ゲノムBAC (Bacterial Artificial Chromosome)ライブラリー(約100,000クローン、平均長:110kb、重複度:3.2)も利用し、以下の結果を得た。 (1)コスミドライブラリーから高密度クロニ-フィルター(HDR, 1,536クローン/フィルター)を作製し、既に構築したYACコンティグのクローンをプローブに用いてハイブリダイゼーションを行なって、1,131クローンのコスミドを同定した。 (2)同様にヒト全ゲノムBACライブラリーをスクリーニングし、猫眼症候群領域のBACクローンを39個得た。 (3)得られたコスミドとBACクローンに対して、D22S9, D22S43, D22S57等のDNAマーカーとc1H9, c1B8, c1B1等のコスミドクローンの計10個を起点プローブとしてコロニーまたはサザンハイブリダイゼーションを行ない、順次ウォーキングを進めた結果、3群のコンティグ(セントロメア側から順にコンティグI、II、III)を得た。コンティグI、II、IIIはそれぞれD22S9, D22S43, D22S57を含み、他の起点もすべてこれらのコンティグに包含された。それらのコンティグはBAC7クローンとコスミド24クローンからなり、全長は700kbに達した。最大のコンティグ(D22S57を含む)はコスミド9クローン、BAC5クローンからなり、380kbの長さを持つ。 最近、新たにクローンの末端をPCRで増幅するベクトレット法を採用し、さらに効率のよいウォーキングを開始した。また、ゲノミックシーケンシングおよびエキソントラッピングも開始している。
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