生化学的検討の結果、炭酸脱水酵素IV型の異常が予想される純型近位尿細管性アシドーシス患者の炭酸脱水酵素IV型遺伝子の解析を行った。また、細胞膜へのanchoringに重要であると考えられるC末端領域の機能解明のために、炭酸脱水酵素IV型遺伝子のC末端領域に変異を導入し、COS細胞にトランスフェクションさせ、発現される炭酸脱水酵素を検討した。 1.純型近位尿細管性アシドーシス患者の炭酸脱水酵素IV型遺伝子の解析 炭酸脱水酵素IV型遺伝子の7つのエキソンを周囲のイントロン塩基配列からプライマーを選定し、各エキソンをPCR法で増幅した。増幅したフラグメントをpBS KS (+)に挿入し、各PCRプライマーをシークエンスプライマーとして塩基配列を解読した。全てのエキソンで変異は認められなかった。ウエスタンブロッテイングの結果、患者の炭酸脱水酵素IV型が正常と同大であったので、今回検討した患者では炭酸脱水酵素IV型は正常である可能性が高いと結論した。 炭酸脱水酵素IV型のC末端領域の機能の解析 ヒト炭酸脱水酵素IV型cDNAにナンセンス変異(G267X)を構築し、COS細胞にトランスフェクションさせた。G267X変異では、分泌される炭酸脱水酵素が数倍に増加した。炭酸脱水酵素IV型のC末端の疎水性領域が膜へのanchoringに必要であることが確認された。
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