研究課題/領域番号 |
06670836
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大和田 操 日本大学, 医学部, 助教授 (40059506)
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研究分担者 |
津田 正彦 日本大学, 医学部, 助手 (20227416)
崎山 武志 日本大学, 医学部, 講師 (20130510)
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キーワード | 糖原病III型 / debranching enzyme / 肝硬変 / 筋症状 / 心筋障害 |
研究概要 |
glycogen debranching enzymeの遺伝的な欠損症である糖原病III型は、我が国でも比較的頻度の高い遺伝性代謝性蓄積症であることを、研究代表者大和田らは明らかにしてきたが、その長期予後については不明な点が多い。III型糖原病の長期予後の解明および、本症の臨床像と生化学的異常の関連を検索することを目的として、本年度から文部省科学研究、一般研究Cの助成を得たので、まずIII型糖原病の自然経過の分析から研究を開始した。即ち、我々の施設で酵素分析を行い、生化学的にIII型と診断した10例(2〜36歳)の症例を対象として、血糖、肝機能、血清脂質などの血液化学検査、心機能検査、身体発育の追跡を行って、その結果を、肝型糖原病の中で最も頻度の高いglucose-6-phosphatase欠損症(I型糖原病)のそれと比較した。その結果、肝型糖原病の特徴とされる低血糖は年齢と共に軽快したが、筋組織から逸脱したと考えられる血清酵素、例えばGOT、LDH、CKなどの値が幼児期後半から次第に上昇し、I型と異なり脾腫が認められた。また、成人例のうち3例で筋力低下が進行し、心筋障害が4例に認められ、3例が心不全と肝硬変により30歳代で死亡し、1例には肝癌を合併した。 以上のように、我が国のIII型糖原病の長期予後は、その他の肝型糖原病に比べて良くないことが本研究によって明らかにされた。本症は酵素異常の差から6種の亜型に分類されており、各亜型での予後が異なるものと推測されるため、次年度は各症例における酵素異常と臨床像との関連について研究を進める予定である。
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