【得られた結果】(1)垂直方向の加速度信号の積分値は、体格や年齢を一致させても各個人によって分散が大きいが、特定の対象については、酸素摂取量と高い相関を示した。(2)したがって、加速度センサーの出力から運動負荷強度を推定することができると考えられる。(3)垂直方向の加速度信号は、被検者が歩いているか、走っているかによって、そのパターンに大きな差があり、加速度信号の積分値にも大きな差がみられた。(4)前後方向の加速度信号は、被検者の運動の仕方によるパターンの違いは明らかではなかったが、加速度信号の積分値は運動負荷強度の増加に従って大きくなる傾向がみられた(以上の成果については、第30回小児循環器学会学術集会H6.6.30で口演した)。(5)一定時間(5秒間)に得られた加速度信号の積分値を垂直方向と前後方向で計算し、これらの比をとることによって、運動の方法、即ち被検者が走っているのか、歩いているのかを区別することができた。(6)加速度信号を数値化する際に(1〜2msec毎にサンプリング)、2方向の相乗平均を計算して一定時間の積分値を計算すると、酸素摂取量と高い相関が得られた。さらに、運動の方法を特定することによってより高い相関が得られた(以上の成果については、第59回日本循環器学会学術集会H7.4.1で口演の予定である)。 【研究総括】(1)2軸の加速度センサーから得られる加速度信号を解析することによって、運動の強度と種類を、運動開始直後から推定することができ、定常状態に達したときの酸素摂取量や心拍数を推定することができると考えられる。(2)現在、加速度信号の積分値を規定する因子を決定し、標準値を決定するために、運動の種類・体重(または体表面積)・性別などを一致させたデータの集積を行っている。(3)センサーの軽量化や長時間記録機能の開発により、身体活動性の的確な評価が可能となることが期待される。(4)今後は、歩行・走行以外の運動についての検討を進める必要がある。
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