【目的】本研究の目的は、携帯型で長時間使用可能な運動量モニターを開発し、日常の身体的活動性の評価に客観性を持たせ、医師側の運動処方に沿った的確な運動を患者に行わせることを可能にすることにある。2軸の加速度センサーを搭載した携帯型運動量計を試作し、センサーから得られる加速度信号の分析によって運動量や運動の方法を客観的に評価できるかどうか検討する。【方法】試作した運動量計を被検者(男児18人、女児9人の健康小児、年齢6〜17歳)に携帯させてトレッドミル運動負荷試験を施行した。センサーから得られる出力信号をシグナルプロセッサーによって数値化し、垂直・直後方向それぞれの積分値、2方向の相乗平均・面積比などの値を測定した。同時に心拍モニター、呼気ガス分析装置を装着し、呼吸代謝モニターから得られる酸素摂取量・心拍数の出力信号をシグナルプロセッサーによて数値化し、運動量・運動の方法・酸素摂取量・心拍数と加速度センサーの出力から得られた各パラメータとの相関を検討した。【結果】(1)一定時間(5秒間)に得られた加速度信号の積分値を垂直ベクトル方向と前後ベクトル方向で計算し、これらの比をとることによって、運動の方法、即ち被検者が走っているのか、歩いているのかを区別することができた。(2)加速度信号を数値化する際に、2方向の相乗平均ベクトルを計算して一定時間の積分値を計算すると、酸素摂取量と高い相関が得られた。(3)さらに、垂直ベクトルと前後ベクトルの比と相乗平均ベクトルの積分値との積は、酸素摂取量とより高い相関が認められた。【結論】加速度信号の分析によって、運動の強さと方法を客観的に評価できることが示された。我々の開発した運動量モニターは、小児の身体活動性の評価に有用であると考えられる。
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