平成8年度の研究計画は順調に進行した。 1新しく開発した多介入研究 われわれは、多介入研究multiple intervention studyを新しく開発した。従来の介入研究は、介入のない群と、介入のある群との比較研究であった。われわれの提案している多介入研究は、介入のない群と、いろいろな程度に介入のある群との比較研究を目標にしている。いろいろな程度に介入のある群とは、介入度の低い群と介入度の高い群としてもよい。この方法によると、介入の程度を明確にできるという利点がある。この方法を使用すると、研究者が、介入の条件を設定することが可能になり、従来の介入研究に較べて、より高度に組織化されているので、介入研究が実験研究であるという側面がより強調される。 2われわれの研究の成果 (1)対象:京都府内都市部に位置する某短期大学の学生622名が対象で内訳は介入度の高い群A群110名・介入度の低い群B群234名・介入のない群C群278名である。 (2)調査時間:第1回目は1年生の4〜5月、第2回目は2年生の卒業前の1月に調査を行った。(3)調査項目:食生活に関する38項目、生活状況に関する10項目、健康状況に関する30項目の計78項目である。(4)結果:食生活・生活状況・健康状況については、介入度の高い群A群は介入前と比較して好ましい変化が有意に認められた。介入度の低い群B群は介入前と比較して好ましい変化が軽度に認められた。介入のない群C群では、介入前と比較して有意差は認められなかった。(5)結語:食生活・生活状況・健康状況については、介入度の高い教育の有効性が認められた。われわれの提案した多介入研究の有用性が認められた。この成果は「女子学生の食生活とライフスタイルに対する介入研究」と題して日本小児保健学会雑誌掲載が予定されている。
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