各種皮膚疾患の浸潤リンパ球におけるIL-7レセプターの発現を調べた報告はなく、これまで我々が、免疫組織化学的に検討した結果では、炎症性皮膚疾患よりも皮膚リンフォーマにおいてIL-7レセプター陽性細胞を多数確認しており、さらに症例数を増やし検討していきたい。また、未だ菌状息肉症における腫瘍リンパ球の細胞株は樹立されていないので、我々はIL-7を用いてその樹立を試みている。2例の菌状息肉症局面期から浸潤リンパ球をIL-2及びIL-7の存在下で培養し、いくつかの細胞株を得たが、表面マーカーではすべてCD4陰性、CD8陽性細胞であった。その理由について仮説をたて(次項、平成6年度研究の評価参照)、新たな方法にて菌状息肉症細胞株の樹立を試みている。ケラチノサイトが発現しているIL-7及びIL-7レセプターの存在証明及びその機能に関しては、RT-PCRにより、初代培養のヒト表皮角化細胞は構成的にIL-7およびI-7レセプターを発現していることが明らかになった。さらにELISAにて無刺激で初代培養のヒト表皮角化細胞はおよそ5pg/mlのIL-7を産生していた。現在、ケラチノサイトから分泌されるIL-7の発現を亢進させる刺激についてスクリーニングしている。またIL-7レセプターに関してはPE-IL-7は初代培養ケラチノサイトに結合することを示した。ケラチノサイトがIL-7及びIL-7レセプターを発現していることから、IL-7のケラチノサイトに対する機能を検討している。IL-7はケラチノサイトの増殖・分化及び生存維持に対して特に影響を及ぼさないことが示された。現在、IL-7の接着分子及びサイトカイン動態への影響について解析している。
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