研究概要 |
(1)各種皮膚疾患の湿潤リンパ球におけるIL-7レセプターの発現: 免疫組織化学的に検討した結果では、炎症性皮膚疾患よりも皮膚リンフォーマにおいてIL-7レセプター陽性細胞を多数確認したが、我々が検討した免疫組織化学の所見は非特異的なものである可能性があり現在検討中である。(2)各種皮膚疾患の表皮におけるIL-7の発現と血中IL-7レベル:正常人の血中IL-7のレベルは5pg/ml以下であったが、以下の疾患のIL-7レベルの平均は以下のごとくであった。MF(6人)10.5、ATL(2人)7.1、CTCL(2人)20.5,Atopic dermatitis(3人)16.7。現在、症例数を増やして、疾患特異性を検討している。(3)、(4)各種皮膚疾患における浸潤リンパ球のIL-7に対する反応性の検討および菌状息肉症における腫瘍リンパ球の株化:2例の菌状息肉症局面期から浸潤リンパ球をIL-2及びIL-7の存在下で培養し、いくつかの細胞株を得たが、表面マーカーではすべてCD4陰性、CD8陽性細胞であった。(5)ケラチノサイトが発現しているIL-7レセプターの存在証明:RT-PCRにより、初代培養のヒト表皮角化細胞は構成的にIL-7およびIL-7レセプターを発現していることが明らかになった。(6)IL-7のケラチノサイトに対する機能の解明(増殖・分化及び生存維持に対する影響、接着分子及びサイトカイン動態への影響):ケラチノサイトがIL-7及びIL-7レセプターを発現していることから、IL-7のケラチノサイトに対する機能を検討している。予備実験ではIL-7はケラチノサイトの増殖・分化及び生存維持に対して特に影響を及ぼさないことが示された。現在、IL-7のケラチノサイトの何らかの作用を見出すべく、IL-7の接着分子及びサイトカイン由来のケラチノサイトの動態への影響について解析している。
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