研究概要 |
1.角層・好中球相互作用に於ける接着機構の解明:角層が血清と接触すると補体のalternative pathwayを活性化するという事実より,今回角層と好中球の接着も,この系が関与するかどうかをfactor BあるいはClqを欠乏させた血清を用いて検討した.その結果factor B欠乏血清において結合が減弱することが解った.即ち,alternative pathwayの活性化にともない,角層上に形成された補体関連物質に好中球が結合することが示唆された.そこで,次に実際に関与する接着因子について検討した.好中球では種々の接着因子の中でもLFA-1及びMac-1などのインテグリンファミリーが重要な役割をしていることが解っている.[補体C3bのレセプター],LFA-1,Mac-1に対する抗体を用いて結合阻止実験を行った.この中で抗Mac-1抗体処理の場合にのみ接着する好中球の減少が確認できた. 2.黄色ぶどう球菌を付着させた角層の好中球化学発光:10^8CFUの黄色ぶどう球菌を角層シートと37℃,1時間培養した後,角層シートによる好中球化学発光を指標に殺菌能を見たところ,ぶどう球菌未処理の角層に比べ1.5倍量の発光が確認できた.現在,処理するぶどう球菌量を変えて指摘濃度を検討中である.それが決定後,SOD,MPOの阻害剤の影響を検討する. 3.角層・好中球反応上清のぶどう球菌殺菌能:角層ホモジネートおよび好中球数を変えて,反応上清中の殺菌因子(defencin)の同定を試みた.が現在までのところ明確な殺菌因子の存在は確認できていない.これに変わって,in vivoにおいて角層・好中球の反応が起こっている膿疱性乾癬患者鱗宵出液中の殺菌能力を検討したところその因子の存在が示唆された.現在同定を継続中である.
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