研究概要 |
[研究目的] 1、アレルギー性接触皮膚炎(CD)、アトピー性皮膚炎(AD)、乾癬(PV)などの炎症性疾患におけるB7-1(CD80),B7-2(CD86)などのco-stimulatory factorの発現レベル、局在性の検討 2、皮膚アレルギー感作成立初期におけるco-stimulatory factorの役割を検討すため器官培養系を用いハプテン刺激後のCD80,CD86の発現レベルを解析。 [方法]パッチテスト部、AD,CD,PVの皮疹部を生検し、免疫組織科学的に検討。植皮用に分層に採取した正常皮膚を1cm^2程度に細切しガラスペーパーにのせFCSを加えない培養液(セルグロッサ)100ul上に浮かべ1mMTNBS(PBS中)を加え12時間後、24時間後、48時間後に回収し皮膚を回収し免疫組織学的にCD80,CD86の発現に関し検討した。 [結果]AD,CD,PV,パッチテスト部の皮膚病変部ではCD86がCD80より強く樹枝状に発現していた。正常皮膚、ADの無疹部ではともに発現していなかった。10mMTNBSを加え、6、12、24、48時間培養後に回収した皮膚のCD80,CD86の発現を免疫組織学的に検討したところ、6時間後に培養後の表皮、真皮に樹枝状にCD86のみ発現。CD86とCD1の2重染色にてCD86はランゲルハンス細胞(LC)に発現していることがわかった。 [考按]接触過敏症の感作成立におけるのLCのco-stimulatory factorの役割に関しては最近多くの報告がありCD80がalloreactionにおいてT細胞活性化に重要な役割を果たすことが知られていた。今回の結果では、CD86の方がCD80より早期に発現しinitiation phaseで重要な役割を果たす可能性が示唆された。このCD86が、CD、AD、PVの病変部でどのような役割を果しているかは、in vitroの抗原特異的T細胞活性反応系を用いてさらに検討する必要がある。
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