研究概要 |
角化異常性皮膚疾患をヌードマウスに移植し、生着した移植キメラについて機能形態学的に検討してモデル化してきた。モデル化された角化異常性皮膚疾患を材料として、レーザー光力学的操作を加えて移植キメラの所見を増殖と分化の面から検討して、臨床応用に結びつけることを目的とした研究である。角化症では、特に尋常性乾癬については移植法を検討し、従来から行ってきた移植法を改良して包埋法、また有窓法を考案し、その一部はJ.Dermatol.21:940-946,1994に記載した。また、有棘細胞癌についてはMed.Electron Microsc.26:191-194,1994に記載した。レーザー光力学的作用については増感剤としてHematoporphyrin oligomerを用いて検討してきたが、Phthalocyanine tetrasulfonate,同亜鉛化合物、同アルミニウム化合物などを用いて、増殖と分化のみならず、活性酸素の動態から検討し報告している。またこれらの得られた結果をまとめて比較検討している。さらに新しく得られた光増感剤についても検討を進めている。操作検索は、ヌードマウスに移植後、14日目の材料について行うことにしており、尋常性乾癬ならびに有棘細胞癌について確認することができたため今後も同様の方法で進めている。また光増感剤の投与量は30μg/g BWが適しており、さらにレーザー照射については、照射量を30〜60J/cm^2に決めて、結果を得るようにしている。 初年度については、尋常性乾癬、有棘細胞癌を対象として検討しているが、今年度からは、さらに疾患の種類を追加して、角化症では表皮母斑、尋常性疣贅、脂漏性角化症、日光角化症、ボ-エン病、基底細胞癌などの移植キメラにレーザー光力学的作用を行い検討する計画を立てている。
|