研究概要 |
角化性皮膚疾患移植キメラについて機能形態学的に検索し、これを増殖と分化の面から、移植キメラを確立してモデル化してきた。モデル化された角化性皮膚疾患移植キメラに対してレーザー光力学的療法を行い、臨床的に応用することを目的として研究してきた。角化性皮膚疾患移植キメラに光増感剤を作用させ、ルビーレーザーを照射し、経時的に検討してきた。光増感剤としてはフタロサイアニンまたは5-アミノルブリン酸塩酸塩を用いた。モデル化した疾患として、(1)尋常性乾癬においては、植皮法のほかに、我々が開発し、臨床所見と極めて類似した像を示すことが認められた包埋法、さらに包埋後有窓移植法を考案した。この結果については学会報告し、"Ultrastructure of the lesions of psoriasis vulgaris transplanted into the subcutaneous tissue of nude mice,by the fenestrating transplantation method"と題し、J.Dermat.に掲載予定である。包埋後有窓移植法を行った尋常性乾癬に対してレーザー光力学的療法を行い検索中で、レーザーの照射法について改良して検討中である。(2)角化性腫瘍については、実験皮膚腫瘍に光力学的療法を行い、腫瘍細胞の細胞質内のミトコンドリアに変化が始まることを認め、その結果についてはすでに公刊してきた。臨床材料についてはヌードマウス移植汗器官癌ならびに光力学的作用後の癌細胞の超微細構造」と題して報告した。また悪性黒色腫については、移植キメラにおいて検討中であり、in vitroにおいては学会報告した。Bowen病移植キメラにおける検討でも臨床応用できることが認められた。さらにレーザー光力学的療法の作用機序として活性酸素の面からも検討を進めている。以上、一連の本研究によって、角化性皮膚疾患に対する一治療法として光力学的療法が臨床的に用いられることが認められた。
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