1)EGFファミリー細胞成長因子に関する研究成果 HB-EGFは表皮ケラチノサイトにより産生されるが、HB-EGF(1ng/ml)を添加するとHB-EGF mRNAが1時間後に5.4倍と著明に増加し、またHB-EGFの中和抗体の添加ににより表皮ケラチノサイトの増殖が34%阻害された。これはHB-EGFが表皮ケラチノサイトのオートクリン細胞成長因子であることを示している。さらにHB-EGF(1ng/ml)は同じく表皮ケラチノサイトのオートクリン細胞成長因子であるTGF-alpha mRNAも3時間後に3.1倍に増加させ、HB-EGF(20ng/ml)を添加しELISAにて培養上清中のTGF-alpha蛋白量を測定すると4.6倍と著明に増加していた。逆に、TGF-alpha(1ng/ml)を表皮ケラチノサイトの培養上清に添加したところ、HB-EGF mRNAが6時間後に10.1倍と著明に増加した。これらの結果はEGFファミリーに属するオートクリン細胞成長因子がオートクリン様式ととも相互刺激様式により自己増殖を刺激している可能性が示唆している。 2)TGF-beta細胞成長因子に関する研究成果 低Ca^<++>培養液から変更することにより、表皮ケラチノサイトの分化を誘導する実験系を用いて、分化誘導時のTGF-betaの産生量をTGF-beta刺激によりルシフェラーゼを産生するcell lineを用いるバイオアッセイ法にて測定した。その結果、高Ca^<++>濃度培養液中では低Ca^<++>培養液中に比べ約4倍にTGF-betaの産生量が増加していることが明らかになった。
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