研究概要 |
色素性乾皮症(Xeroderma Pigmentosum:XP)のA群患者の原因遺伝子XPAC遺伝子がクローニングされ、その解析より日本人XPA群患者のほとんどが3種類の点突然変異の組み合わせにより発症する事が明らかにされた。これらの変異は3種類の制限酵素AlwNI,HphI,MseIによる新しい切断部位を作り出す事より、患者及び保因者の可能性を有する患者血縁者のリンパ球より抽出したDNAのXPAC遺伝子をPCR法にて増幅後上述の制限酵素にて消化する事によりXPA群患者と保因者の診断を行うことが可能となった。本研究の目的はこのPCR‐RELP法を用い、(1)XPA群患者および保因者の同定を行い、(2)患者の症状の程度と遺伝子変異の種類との関連を明らかにし、更には(3)遺伝子変異の異なるXPA群患者由来の培養繊維芽細胞っを用いてDNA障害修復能および種々の光生物学的効果を検討することにある。平成6年度に行った研究により以下の知見が明らかになった。 1.姉妹であるにもかかわらず臨床症状に違いのある患者を見出した。この姉妹はPCR‐RFLPによる診断の結果、同一の変異を有している事が判明した。姉は4歳より、一方妹は2歳より遮光を始めておりこの違いが臨床症状に反映しているものと推察した。 2.16名のXPA患者および4名の無症候性の兄弟をPCR‐RFLP法にて診断し、臨床症状の解析を行った。患者のうち8名がAlwNI変異のホモ接合体、2名はAlwNIとHphIのヘテロ接合体、1名がAlwNIとMseIのヘテロ接合体であった。さらに3名はAlwNI変異、2名はHphIの変異を一方のアレルに有するが他方のアレルの変異は本法では検出できなかった。4名の兄弟のうち2名は保因者、1名は健常者、1名はどちらか不明という結果を得た。臨床症状との関連ではHphI変異のヘテロ接合体が軽い臨床症状を示すことが判明した。
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