研究概要 |
1)ポリクロナール抗cornifin α抗体(SQ37C)はイムノブロット法で培養ケラチノサイト抽出蛋白からはcornifin αを検出できるが正常皮膚からの抽出蛋白にはcornifin αを検出しがたいので正常皮膚で発現するcornifin αのエピトープを認識しにくいことが推定された。この抗体を用いた免疫電顕ではヒト正常皮膚に特異的免疫反応産物を証明し得なかったので、別のペプチドを用いて新しいポリクロナール抗体を作成し、現在、イッムノブロット法でその特異性を調べている。精製したCEを用いた免疫電顕は上記の理由で行えなかったため、新しく作成した抗体で行なう予定である。 2)免疫組織では,SQ37C抗体を用いて正常毛嚢の内毛根鞘にcornifin αが発現していることを明らかにした。また、新たにクローニングされたcornifin βに対する抗体,CL12を用いて免疫組織を行ない、cornifin βは、皮膚、毛嚢には発現しておらず口腔粘膜、舌、食道の上皮に特異的に発現していることを明らかにした。今後、おのおののcornifinに対するプローブを用いin situハイブリダイゼーションにより上皮組織における両遺伝子の発現パターンの比較を行なう予定である。 3)各種の皮膚疾患、皮膚腫瘍で免疫組織学的にcornifin αの発現を検討した結果、多くの炎症性皮膚疾患、有棘細胞癌で発現が亢進していること、いくつかの角化異常症での発現パターンを調べたが特異的な発現異常はみとめがたいこと、を確認した。
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