研究概要 |
現在までにアトピー性皮膚炎(AD)ではtype2 helper T cell(Th2)の優位性を示す多くの所見が知られている。一方、最近、AD皮疹部においてreverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)を用いてIFN-γのmRNAが優位に発現していることが報告されている。この点を明らかにすることはADの病因を解明する上で非常に重要と考えられる。そこでわれわれはAD患者5例の皮疹部においてIL-4、IFN-γのin situ hybridization(ISH)、免疫染色を行った。全例においてIL-4、IFN-γ mRNA陽性細胞が、主に真皮上層のリンパ球集団中に認められた。おのおののセンスプローブを用いた連続切片ではシグナルは全くみられなかった。400倍の1視野(HPF)あたりのIFN-γ mRNA陽性細胞の数(14.0±6.7/HPF)はIL-4 mRNA陽性細胞数(2.4±1.1/HPF)より有意に多かった(p=0.04)。それぞれのサイトカインのmRNA陽性細胞と重症度、log IgE、末梢血好酸球数に有意の相関はなかったが、IL-4 mRNA陽性細胞は重症度のスコアと相関する傾向がみられた(r=0.76,p=0.13)。 免疫染色ではIL-4、IFN-γ陽性細胞がmRNA陽性細胞とほぼ同じ部位に認められた。それぞれのisotype-matched controlの抗体では全く陽性所見はみられなかった。またIFN-γ陽性細胞数(6.3±2.8/HPF)はIL-4陽性細胞数(1.8±1.2/HPF)より有意に多かった(p=0.04)。 以上より、IFN-γがtanscription、translationともに優位であったが、IL-4 mRNA陽性細胞と重症度のスコアと相関する傾向がみられた(r=0.76,p=0.13)ことより、IL-4のADにおける重要性が示唆された。
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