フローサイトメトリーを用いて、アトピー性皮膚炎(AD)患者、健常者の末梢血のCD21、CD40、CD23分子発現の検討を行った。 I.AD患者におけるCD21分子発現とダニ抗原刺激による影響 CD21はAD患者(16例)、健常者(5例)においてもほとんどのB細胞、単球に発現している。T細胞では平均9.08±5.2%の発現があったが、2群間の有意差、AD患者での重症度との相関はみられなかった。精製コナヒョウヒダニ抗原(affinity-purified DF)(Af-DF)による刺激、インターロイキン-4(IL-4)+Af-DFによる刺激よってもT細胞にCD21の発現の増強はみられなかった。 II.AD患者におけるCD40分子発現とダニ抗原刺激による影響 AD患者(16例)、健常者(5例)全例においてB細胞、単球のほぼ100%にCD40の発現が認められた。T細胞には全くCD40の発現は認められなかった。Af-DFによる刺激、IL-4+Af-DFの刺激によってもT細胞にCD21の発現の増強はみられなかった。 III.AD患者におけるCD23分子発現とダニ抗原刺激による影響 I、IIの結果より、もう一つのIgE産生に関わる細胞表面蛋白であるCD23について、同様な検討を行った。両群においてもCD23発現はB細胞に認められ、T細胞、単球にはきわめて低率にしか見られなかった。CD23陽性B細胞はAD群では52.4±13.6%、健常者では25.2±8.9%でAD群に有意に高率に認められた。なおAD群のみにおいてAf-DFの刺激により、濃度依存性に3日をピークとするCD23陽性B細胞の増加を認めた。 以上の結果より、ADにおいてCD23が最もpathogenesisに関与すると考えられた。
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