20例の正常人における身体各部位における真皮メラノサイトの検出をチロジナーゼ、チロジナーゼ関連蛋白1番(TRP1)、チロジナーゼ関連蛋白2番(TRP2)を認識する抗体を用いて免疫組織学的に行った。採取部位の内訳は顔面4例、頚部2例、体幹4例、上肢5例、下肢5例である。また 真皮のメラノサイトが活性化した疾患である、太田母斑、伊藤母斑などの後天性真皮メラノサイトーシス7例についても同様の検討を行った。その結果、正常皮膚においては表皮のケラチノサイトにおいては全例がすべてのmelanogenic enzyme陰性、基底層のメラノサイトにおいてはチロジナーゼ陽性が4例、TRP1陽性が3例、TRP2陽性が18例であった。一方真皮においてはチロジナーゼ陽性細胞が19例、TRP1陽性細胞が全例、TRP2陽性細胞も全例に認められた。一方後天性真皮メラノサイトーシスでは基底層のメラノサイト陽性細胞は全例に認められた。また真皮においてはチロジナーゼ、TRP1、TRP2陽性細胞は全例において認められた。 これらの結果より、以前より成人の正常背部にも真皮にメラノサイトが存在することが報告されていたが、背部以外の正常皮膚にも真皮にチロジナーゼ、TRP1、TRP2陽性の樹脂上の細胞が存在することが、明らかとなった。これらの細胞の起源についてはまず第一にこれらの酵素がメラノサイト特異的なことより、メラノサイトもしくはメラノブラストが考えられる。第2にこれらの細胞を貧色したメラノファージが考えられる。また後天性真皮メラノサイトーシスではメラノサイトにおいて酵素の発現が上昇していることが、明らかとなった。
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