研究概要 |
6種類のヒトのメラノーマ産生能とTRP2の活性を検討し、JB/MSのそれらと比較した。KHm-1/4, Ihara, HM-IYの3種類のメラノーマのメラニン産生能は比較的高く、JB/MSと同様ないしはそれ以上であった。KHm-1/4のメラニン産生能はJB/MSの2倍であったが、TRP2の活性はJB/MSの約10%であった。またIharaのメラニン産生能はJB/MSとほぼ同程度であったが、TRP2の活性はJB/MSの約20%であった。TRP2の活性の測定は細胞の抽出液をDOPAchromeと混ぜて、37℃にて反応させTRP2の働きによって生じたDHICAをHPLCにて検出するものであるが、この時DOPAchromeより酵素に依存しない特発性の反応にてDHIが生じる。1時間反応させた時のHPLCによる解析では、JB/MSではDHICAの明らかなピークと共に、DHIのピークが認められる。一方メラニン産生の盛んはKHm-1/4では、DHIの高いピークを認めるが、DHICAのピークはほとんど認められない。このことは、TRP2の活性が非常に低いことを意味すると思われる。ついで無色毒素のSK-MEL-24でも大きなDHIのピークが認められたことに注目し、反応時間を30分から4時間まで延長し、DOPAchromeからのDHIの生成を検討した。その結果無色素性のSK-MEL-24では反応時間を4時間まで延長してもDHIの量はほぼ一定かむしろ軽度増強した。一方メラニン産生の盛んなKHm-1/4では反応時間の延長に従って、DHIの量は少しずつ低下してきた。このことはKHm-1/4では反応時間の延長と共に、DHIから先のメラニン生成のステップがスムーズに進行し、メラニンが産生されるが、SK-MEL-24ではDHIより先のメラニン産生のステップが何らかの理由により阻害されて、進まないことを意味しているのではと推察される。
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