表皮細胞の分化におけるプロテアソームの関与を明らかにするための実験を行い、以下の結果を得た。 1.プロテアソームの皮膚内局在 (1)酵素活性では、その比活性が顆粒層、有棘層で最大を示し、角層、真皮では低値であった。 (2)酵素蛋白の発現をプロテアソームモノクロナール抗体を用いてイムノブロット法にて検討したところ、顆粒層、有棘層でのみプロテアソームの発現が見られた。 (3)免疫組織学的には、表皮特に顆粒層〜有棘層の細胞質、核に陽性所見が認められたが、分裂細胞である基底細胞では陰性であった。 2.表皮細胞の分化とプロテアソーム 培養表皮細胞を1.8mM Caにて分化させた時のプロテアソームの発現をノーザンブロット(mRNAレベル)とイムノブロット(蛋白レベル)で調べた。 (1)プロテアソームmRNAはCa^<2+>添加8時間後まで経時的に増加、以後徐々に減少した。 (2)プロテアソーム蛋白量もCa^<2+>添加後経時的に増加(8-12時間で最大)、以後徐々に減少した。 以上の結果は、プロテアソームが表皮細胞の分化に直接関与していることを示しているものと思われる。この事は又、表皮細胞の増殖性疾患である乾癬の病像形成にも関与していることを強く示唆している。
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