接触アレルギー感作に及ぼす中波長紫外線(UVB)の影響をマウスを用いて検討した。 1.紫外線照射部位で感作した場合は、紫外線量に依存して感作が抑制された(局所免疫抑制)。25mJ/cm^2以下のUVBでは抑制されなかった。 2.より大量(250mJ/cm^2以上)のUVBを照射(腹部)すると非照射部位(背部)での感作も照射量依存性に抑制された(全身性免疫抑制)。このことから紫外線照射皮膚からの免疫抑制因子の産生遊離が示唆される。 3.総照射量が一定の場合は、単回照射(1J/cm^2×1)よりも連日分割照射(0.5J/cm^2×2あるいは0.25J/cm^2×4)した方が、感作が強く抑制された。 4.全身性免疫抑制の程度は、紫外線照射面積に比較して増強した。 5.局所免疫抑制は、紫外線照射1〜3日後感作が最も強く、全身性免疫抑制は、1〜3日後よりも5〜10日後感作の方が強く発現した。 6.以上の結果から、紫外線による免疫抑制は、種々の因子により影響されることが判明した。これらの因子は、サイトカインの産生にも影響を及ぼす可能性がある。 7.In vitroの実験により今日までに紫外線免疫抑制に関わるサイトカインとして、IL-1、IL-10、TNF-α、プロスタグランジンなどが想定されている。 8.今後、マウスにin vivoでUVBを照射して経時的に採血し、モノクロナール抗体キットを用いたELISA法によりこれらサイトカインの定量を行う。免疫抑制の程度とサイトカイン量の相関を検討する。
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