研究概要 |
放射線治療後の患者組織をさらに収集し、E-cadherin抗体の組織染色を行ったところ、前年度明らかになったように、照射後もE-cadherinは照射野内の上皮細胞表面に存在していることが追認された。 上皮細胞CA9-22(下顎骨歯肉偏平上皮由来)と繊維芽細胞MRC5を用いたmortility asseyで、MRC5が細胞遊走因子を出していることが再確認され、前年度の上皮細胞HSC3だけに特有な現象ではないことが確認された。 放射線照射後に、繊維芽細胞MRC5が肝細胞増殖因子hepatocellular growth factor(HGF)の産成が増加していることを初めて見い出した。まず、MRC5を無血清でplateに蒔き、ある程度のcolonyが形成された時点でコバルト照射を0Gy,10Gy照射した。24時間後のplateのconditioned medium中のHGFを測定したところ、有意に10Gy照射群で上昇していた。また、照射後6時間おきにconditioned mediumのnortem blottingを行ったところ、24時間目で明らかにHGFのmRNAが増加していることがわかった。HGFは、数々の臓器において形態形成において極めて重要な役割を担うことはよく知られており、われわれの発見は放射線治療後の形態形成にHGFなどの形態形成因子の増加が関与していることを示唆している。
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