私共は既に166例の手術不能進行癌に対して^<60>Co遠隔照射装置を用いて、低線量率遠隔照射を試みてきたが、 (1)予想以上に局所制御率が高く、 (2)予想以上に障害発生率が高い、という結果を得た。当施設は2台の^<60>Co遠隔照射装置を有し、従来は固定式の^<60>Co遠隔照射装置を若干改良して、低線量率照射を行ってきたが、1門照射しかできず、精度も不良のため、広い照射野を取らざるを得なかった。高率な障害発生率は照射装置の問題と考えられる。今回小照射野で多門照射が可能となるよう回転式^<60>Co装置を改良した。本年度は本装置の精度測定を行い、小容積の低線量率遠隔照射が可能なことを確認した。再発食道癌1例および手術不能胆嚢癌1例に対して本装置を用いて60Gy後の50Gy後のboost治療として、前後2門法および3門法にて低線量率遠隔照射法を試みた。2例とも本法による障害は全く認められず、現在再発なく順調に経過している。今後本装置による治療症例を増やし、障害、一次効果および生存率を過去の成績と比較し、小容積低線量率遠隔照射の有用性を検討する。
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