研究概要 |
MRI・病理所見を比較検討するために,I生前MRIと剖検脳病理所見の対比,II死後MRIと病理所見の対比(Aフォルマリン固定後のMRI, B死亡直後のMRI)を行ってきた.そのうち,mitochondrial myopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes (MELAS)の1例で,生前のMRI, T1強調像で大脳皮質の層状壊死を示唆する所見が認められ,剖検が得られた.組織所見との対比検討は完了していないが,現在組織検査を進行中である. 死亡直後にMRIを施工する方法としては,(1)解剖による脳取り出し前に検査する場合と,(2)取り出した脳をそのままMRI室に運んで検査する場合がある.前回,死亡直後にMRIを施工する場合の実際的な問題点を列挙した.取り出した脳をMRI室に運んで検査するのに生理食塩水を満たした試作容器に脳を入れて検査してきたが,その場合の新たな問題点が判明したので報告する.冷たい生理食塩水を使った場合,大脳皮質と白質のコントラストが悪くなることである.温度によって組織のT1緩和時間,T2緩和時間が変化するためと思われた.そのため体温程度に暖めた生理食塩水を利用したところこの問題は解決し,皮質と白質のコントラストの改善が得られた.
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